2024/10/28
皮膚病の犬のドライヤーのかけ方|温度が熱いと悪化する?
犬のシャンプー後のドライヤーで、痒みが悪化するということを聞いたことはありませんか?
人間もお風呂やお布団の中、飲酒をすると体温が上昇し、痒みが出やすいと言われています。
犬の場合は、シャンプー後のドライヤーで痒みが顕著に増加することがあります。
いったいなぜドライヤーで痒みが増してしまうのでしょうか?
今回は痒みの原因と、注意点について解説していきます!
一般的な犬のドライヤーの温度
犬のシャンプー後の乾燥には、人用のドライヤーを使用していますか?それとも犬用でしょうか?
人用のドライヤーは約90~120度くらいの温風で、温度が高く犬の皮膚には熱すぎます。
一方、犬用のドライヤーは60度前後と低温です。
これは犬の皮膚が、人の皮膚の何倍も薄くデリケートであることが理由です。
人用ドライヤーを使用する際は低温に設定して乾かすよう注意しましょう。
熱いドライヤーをかけるとなぜ痒みが悪化するの?
まずは痒みが発生するメカニズムから解説していきます。
痒み自体は正常な反応・反射です。
皮膚に加わった、何かしらの刺激を感覚神経がキャッチし、脊髄を通り、大脳まで到達し、
「痒い!!」
という反応が起きます。
皮膚炎がある犬は正常な犬よりもこの感覚神経の働きが活性化しています。
そのため、通常であれば痒みを起こさないような些細な刺激に対しても、痒みと認識してしまいます。
ではドライヤーでなぜ痒みが起きてしまうのでしょうか?
実はドライヤーの熱が原因で、
- 痒みの感覚神経が活性化
- ヒスタミンという痒みを引き起こす物質を発生させる
- 血管を広げ、炎症細胞を運びやすくする
などにより、通常よりも強く痒みを感じてしまいます。
痒みが悪化しやすい皮膚病
痒みが悪化しやすい皮膚病にはアトピー性皮膚炎や食物アレルギー性皮膚炎などがあります。
アトピー性皮膚炎
犬のアトピー性皮膚炎は、遺伝的な素因が関与しています。
また、環境のアレルゲンに対して体内のIgEという抗体が反応することで、起こる場合もあります。
アレルゲンに異常に反応したIgEは皮膚に炎症や痒みを引き起こします。
特徴的な皮膚炎症状や検査・治療により診断します。
アトピーがあると、外部からの物理的・化学的な刺激から守る皮膚のバリア機能が弱くなり、皮膚の感染症を起こすことがあります。
食物アレルギー性皮膚炎
食物アレルギーとは食べたものに対してアレルギー反応があり、体内のIgEやリンパ球が反応し、皮膚炎を起こします。
食物アレルギーはアトピーのような環境のアレルゲンでは無いため、アレルゲン物質を摂取しなければアレルギー反応を出さないことが可能です。
まとめ
今回は、ドライヤーで痒みが悪化する原因について解説しました。
皮膚炎がある犬の皮膚は
- 皮膚の乾燥などにより、外部刺激からのバリア機能が低下している
- 感覚神経が正常よりも伸びており、刺激を受けやすい
- 痒み物質に対する感受性が高い
場合が多く、ドライヤーの熱は痒みを感じやすい皮膚にさらに痒みの刺激を与えることになります。
ご紹介したアトピー性皮膚炎や食物アレルギー性皮膚炎は、初期では皮膚炎症状が無いにもかかわらず、痒みが出ることが特徴です。
そのため、シャンプーをしていても皮膚の異常に気づけず、ドライヤーの熱を加えてしまう場合もあります。
ご家庭用のドライヤーで痒みが出る場合は、トリミングサロンで使用している犬用の低温ドライヤーが有用です。
そういった場合はぜひご相談ください。
奈良県生駒のトリミングサロンFLORA